救える命があれば どこへでも

徳島県阿南市での防災訓練に参加して

徳島県阿南市での防災訓練に参加して                 AMDA兵庫理事長 江口貴博

令和元年9月1日、防災の日に行われた徳島県と阿南市との合同防災訓練に参加しました。

AMDAでは、東日本大震災の経験を次の災害に活かすため、数年前から南海トラフの地震津波災害で大きな被害が予想される高知県と徳島県で避難所支援を行おうと、AMDA本部が中心となって南海トラフ地震対応プラットフォームを主催し、両県や市町村との災害協定を結んで連携を図ってきました。そしてその中で、AMDA兵庫は徳島県阿南市を担当することとなり、AMDA本部の助言を頂きながら阿南市役所の危機管理室や阿南市医師会、阿南市歯科医師会などでの人脈を広げてきました。

今回、徳島県と県南部の自治体が中心となって合同の防災訓練を行うこととなり、1ヶ月前から阿南市役所や保健所と打ち合わせを行いながら合同防災訓練を準備してきました。

8月31日徳島水の都記念病院での当直日勤を終えて阿南市に移動し、9月1日朝8時にホテルを出発、訓練が行われる福井小学校を訪ねると、地域の方々や救急隊員、阿南市職員の方々が多く集まっていて、避難所の設営訓練、炊き出し訓練の準備が始まっていました。また小学校の保健室では保健所職員の方々が救護室を設営する訓練を行っていましたので、まずは医師として助言をすることから始めました。

次に、今回一緒に活動して頂く倉敷記念病院の3名とAMDA本部調整員と合流。阿南市長はじめ市職員の方々に挨拶をしました。そして、阿南医師会の医師3名とも合流し、医療デモンストレーションの打ち合わせをしました。

そして炊き出し訓練が終わった12時30分ごろから、阿南医師会の先生を中心にトリアージの説明と実践を参加者の方々に行い、江口と倉敷記念病院の3名は、赤タグを付けた2名(火災による気道熱傷、上肢切断による出血性ショック)に対し、救護所での救急医療のデモンストレーションを行いました。

本番さながらの緊張した雰囲気で行ったためか、住民の方々も真剣な眼差しで状況を注視してくれました。

防災訓練後は、阿南合同庁舎に移動し、徳島D—MATを中心とした報告会に参加し、阪神淡路大震災をきっかけに生まれたAMDA兵庫の設立経緯と、東日本大震災や熊本地震などでの今までの活動とともに、南海トラフでの活動予定などを説明いたしました。

そして、今回の一番の収穫は、阿南市の防災担当者や医師会の方々との人脈が強固なものとなり、顔の見える関係となれたことでした。

この経験をもとに、実際の南海トラフの地震において少しでも阿南市の災害医療に貢献できるように、これからも準備を進めて行きたいと思います。皆様のご協力をどうぞよろしくお願いいたします。