救える命があれば どこへでも

能登半島訪問報告

7月7日、江口先生と濱村晃年(徳島)上野の3人で能登半島に行ってまいりました。

風に立つライオン基金とのコラボ企画の健康相談カフェが小規模仮設住宅の河井第四団地の談話室にて開かれました。お昼頃からの開催で、少し早めに到着したので、輪島の被災状況を確認しにいきました。全壊している建物も多々あり、亡くなられた方がいたであろうことがありありと感じられ、そんな状況に対しては、ただ手を合わせることしかできませんでした。

健康相談カフェが始まると高齢な方から子供まで幅広い世代の方が来られ、コーヒーとクレープを喜んで召し上がられていました。「被災してから眠り辛くなった。」と訴える女性は被災することで負った心の傷の存在を物語っていました。又、ある男性に江口先生が子供たちのメンタルケアが必要かお聞きすると、「辛さを抱えていた子供たちは輪島から離れて行った。今はまだ上下水道が復旧していないことに不便を感じている。」と話されてました。まだインフラが整っていない段階にあることがわかり、そのように不便を強いられている生活の大変さを感じました。ライオン基金の看護師から江口先生少し観てくださいと声がかかり脚の浮腫みを訴える女性の脚を見る場面がありました。避難生活が始まってから浮腫みが出たようで、血流が悪いことが原因では無いかとお話しされ、浮腫みを解消するような脚の運動やマッサージを丁寧に教えていました。その後ライオン基金の女性メンバーからアロマオイルのハンドマッサージを受け、終始沢山お話しをされ満足そうにされていました。アロママッサージ、自分もやりたい!と私も教わりました。次は自分も…と。

談話室に集まった方々は避難所で知り合ったという繋がりがあり、綺麗な手作りマスクは避難所の方にもらったのだと嬉しそうにされていた高齢女性。頂いた漬物が美味しかった、ありがとうという会話。避難生活が織りなす人々の助け合いと繋がりを感じました。被災者の助け合い精神、心に染みるものがあります。

次に80代後半の男性とその息子さんのところへ江口先生と私、ライオン基金の坂田さんの3人で訪問しました。

「突然立てなくなってしまうようなことがあり、片時も目が離せなくなっている。どんどん弱っているように思う。」と介護の負担が増えていることに辛さを感じている息子さん。江口先生から頭の病気とは考えにくいから回復できるであろうこと。毎日の積み重ねが大事、スクワットをしましょうと手すりにつかまってやってみせると、「明日からやってみる。」と笑顔のお父さん。介護度の更新やケアマネージャーとの相談の必要性を伝えられ、少し悩みが軽減されただろうか?と後にしました。

談話室から被災者たちが居なくなるとさっきまで明るく賑やかな会話が飛び交っていたお部屋が急にシーンと静かになり、被災者たちの生命力みなぎる姿はこちらまでパワーをもらえていたように思えました。

帰り際には火災があった朝市通りに行きました。フィクションのような悲惨な状況に復興までの道のりが長いことを感じました。

今回の活動を通して輪島の被災状況、被災者が置かれている環境がよくわかりました。復興に向けての支援はまだ急性期のような状況があり、継続的な支援が必要だと思えました。

1日だけの訪問でしたが実際の被災地に入ることにより得られた貴重な体験は大きく今後に生かして行きたく思います。 

文責:上野